□その1:これぞ大人のテーマパーク
〜浦安鐵鋼団地見学記 |
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いや〜、いい天気だねぇ。 |
M |
まったくですね。小春日和ってやつですね。
え〜、本日我々はなぜかチバシティは浦安の鐵鋼団地まで来ております。通りの向こうは某テーマパーク。「キャプテンEO」ってまだあるのかな…。それはさておき次回公演のタイトルが「IRON
MAYDAY アイアン・メイデー」ということもあり、鉄について調べていたところ、こういう地名があると聞き、はるばるやってきたのです。 |
03 |
おっと、いきなりリポーター風だね。 |
M |
えへへへ、憧れてたんすよ。 |
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でも、チバシティっていうのは、千葉市のことでしょ。違ってるよ。 |
M |
おおっと。まぁ、細かいことは気にしないで…。春ですし。ところで鐵鋼団地とはまたえらく、グラインダーマン好みな名前ですね。 |
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まったくだね。こんなところがあるなんて。見渡す限り倉庫の壁。しかも、すべて鐵鋼関係!でっかいトラックがばんばん搬入にくるからか恐ろしく道幅が広い!内輪差による巻き込み知らずの片側一車線道路だ。 |
M |
でも、どう見ても普通の道路4車線分ぐらいはある…。まったく鉄分過多な街ですね。 |
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青べかの町、浦安鐵鋼団地。219社、約270の倉庫、工場が年間680万トンの鋼材を様々な場所へ運び出している。まさに日本が世界に誇る鉄による鉄のための街である。天気のせいか碁盤の目状に整備された町並みもどこか哀愁をおびながら人好きのする風情なのであった。 |
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03 |
さてと、地図をみると…。あっ!あそこだ。碓井鋼材。大きな倉庫だよ。 |
M |
ほんとだ、立派な建物ですね。 |
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今回のイベントの協賛である(社)全日本特殊鋼流通協会に鉄について色々学びたいとの打診をした結果、紹介されたのが、株式会社碓井鋼材。昭和23年創業、資本金3,000万円。静岡にも支店を持つ老舗の鋼材販売会社だ。 |
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03&M |
今日はいろいろと教えてもらいに来ました。よろしくお願いいたします! |
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碓井社長(以下「ウ」と略) 何でも聞いて下さい。倉庫の中にいる、ヤマナとフクシマにも話はとおしてありますので。それでは、早速倉庫の中を御案内しましょう。 |
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M |
うわー、大きいですね。この倉庫の中に置いてある鋼材を流通しているわけですね。 |
ウ |
そうです。ちなみに倉庫全体の在庫能力は8,000トンです。 |
03 |
グラインダーマンのアイテムだと何年分なんだろう…。 |
M |
おっと、工作機械もありますよ。 |
ウ |
工作機械については、うちの社員に聞くといいですよ。…こちらが社員のヤマナとフクシマです。 |
03&M |
どうもこんにちは! |
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ヤマナさん&フクシマさん(以下「ヤ」「フ」と略) |
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こんにちは。話は聞いてるよ。 |
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M |
今日は色々と教えて下さい。 |
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早速なんですが、グラインダーは使いますか? |
ヤ |
君らの使っているグラインダーは、僕らの間では「ベビーサンダ−」っていうんだよ。 |
03 |
えっ!ベビー?じゃぁ、大人サイズもあるんですか? |
ヤ |
こいつだよ、ほら。 |
03&M |
ゲゲ!で、でかい! |
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取り出されたのはまさにターミネーターサイズの巨大グラインダー。
とても片手で扱える代物ではない。その他にも、クレーンの運転方法や安全確認の手順、溶接や火花実験など様々な倉庫内での事実を目の当たりにする二人。 |
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フ |
いやぁ、一生懸命だねぇ。いいねぇ。 |
M |
新鮮なオドロキがありますよ。 |
フ |
そうだねぇ、そこら辺に転がってる鉄の固まりでも400〜500キログラムあるからね。 |
M |
重いですね、やはり。触ってみると…。うわ、冷たい。 |
フ |
鉄って、熱しやすく、冷めやすいからね。何しろ、倉庫いっぱいのこの鉄の量でしょ。夏なんか熱を持っちゃって、倉庫内は常に40度以上で、痩せるよ〜。逆に冬はメッチャクチャ凍えるけどね。 |
M |
なかなか、厳しい面もあるんですね。ところでさっきから気になってたんですけれども、フクシマさんのヘルメットの頭のところになんか面白いこと書いてますね。 |
フ |
ああ、これ? |
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ヘルメットの前頭の部分に印刷されてある「錆注意」のステッカーの上にマジックで「脳」と書き足されている…。 |
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M |
これ、自分で書いたんですか? |
フ |
「脳錆注意」ね。脳が錆びたらやばいでしょ、やっぱり。注意しないとね。 |
M |
ん〜なかなか深いですね。同感です。まったく。 |
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途中に昼休みを挟みつつ、見学は続く…。 |
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ヤ |
最近はでねぇけど、この工場もたまには出たんだぜ。 |
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え?なんですか? |
ヤ |
何って、これだよこれ。お・ば・け。 |
M |
ひゃ〜。やはり、そういう話もあるんですか? |
フ |
あそこの柱みてみなよ。ちゃんとお札が貼ってあるだろ。 |
03 |
おぉ!ほんとだ! |
ヤ |
犬とかには見えるらしいよね。な〜んか見たことない犬が、ずっと、倉庫の中みてるな〜って思ってたら、不吉な事故が起こったりさ。お客さんが来てるのかな?って思ってたらそこに誰もいなかったり、とかそういうのもあるよ。それはそっちの奥の方だったけど。 |
03 |
この倉庫でですか? |
ヤ |
そうだよ。ま、最近はないけどもね。 |
M |
うわ〜僕鳥肌立っちゃいましたよ。そういうことはやはりどこにいってもあるんだな。確かに、古い建物だもの…。 |
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ところでヤマナさんは何故、鉄に関わる仕事をされているんですか? |
ヤ |
ん〜、何故っていわれてもなぁ…。まぁ、磁石みたいなもんじゃねぇの。フラフラ〜ってさ、吸い付いちゃって。俺もあんたらもさ。引き付けるものがあるんじゃねぇのかな。なんかそういう感じがするよ。 |
M |
なるほど、磁石ですか…。言い得て妙ですね。 |
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工場内の作業見学の目的から、いつしか社員さん達の裏話に話しは移り、時は過ぎる。やがて、日も暮れ見学も終了となった。 |
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03&M |
本日は貴重な時間を裂いていただいて大変有り難うございました。大変勉強になりました。 |
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ウ |
いえいえ、こちらこそ。公演の成功を祈ってます。
がんばってください。 |
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手を振りつつ車に乗って帰路につく二人。その車内にて…。 |
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M |
お疲れ様でした。 |
03 |
いや〜、なかなか貴重な体験をしたよ。ところで、"iron" の「鉄」って、もう一つ別に「鐵」っていう漢字もあるの、知ってた? |
M |
そういえば、この団地の中ではあまり「鉄」の方は見ませんね。なんでだろ。 |
03 |
これがさ、実は「鉄」の方は「金を失う」って書くでしょ?
商売事には縁起が悪いから「鐵」の方を使うってことらしい。 |
M |
なるほど!そいつはまた一つ賢くなりましたぜ。世の中にはまだまだ、知らないことが多いですね。脳錆注意!脳錆注意! |
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夕闇の迫る鐵鋼団地をさっていくグラマガ編集部。赤いテールランプが永遠に続く国道357号線。公演の成功を夕日に誓うのであった。 |
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その時、グラマガカーの横を並走するレンタカーが一台。そこには他のグラインダーマンのメンバーの姿が…。グラマガ編集部が取材をしている間に彼等もまた鐵鋼団地にて一仕事を終えていたのだった。果>たして、その仕事とは…?
答えは「IRON MAYDAY アイアン・メイデー」当日に明らかになる!
乞う、御期待! |
Q1: |
(社)全日本特殊鋼流通協会とは、どのような組織なのでしょうか?組織の成り立ちなどをお聞かせ下さい。 |
A: |
社団法人全日本特殊鋼流通協会は、特殊鋼の流通に関する人材育
成、調査研究を行うことにより、特殊鋼の流通に関する関連事業の健全な発展を図り、わが国経済の発展及び国民生活の向上に寄与することを目的に平成8年12月、通商産業省(現経済産業省)により認可されました公益法人です。現在、正会員325社及び賛助会員42社、合計367社からなる団体です。
さらに詳しくは当協会ホームページ
( http://www.zentokkyo.or.jp/
)の「協会のご案内」をご覧下さい。 |
Q2: |
今回、サポートいただいております「青年部会」というのは…? |
A: |
青年部会は、特殊鋼流通業の45歳以下の若手経営者で構成されています。部会のキーワードは、『interesting=興味深く』と『funny=愉快に』。つまり、“興味深いテーマでの相互研鑚”と“笑いがあふれる懇
談の場”を設けることで、全特協および業界の活性化や発展に寄与し、あわせて特殊鋼業界が社会の発展のためにどのような貢献ができるかを念頭においた、さまざまな事業や活動を展開しています。
(青年部については、当協会ホームページ「青年部のご案内」の「活動のご紹介」をご覧下さい) |
Q3: |
今までに今回のような形で、アーティストのサポートなどを行ってきたのですか?あるとすればどのようなことを行ってきたのでしょうか? |
A: |
アーティストというより「金属彫刻作家新鋭展」を第1回目より支援しています。千葉県印旛村にある「メタルアートミュージアム・光の谷」で行われた展覧会です。
(詳細は、当協会ホームページの「バーチャル展覧会」でご覧になれます) |
Q4: |
グラインダーマンをどのようにして知りましたか? |
A: |
「たけしの誰でもピカソ」で知りました。
ちなみに私は「グラマガ」の読者です。 |
Q5: |
今回どうしてグラインダーマンのサポートを選んだのでしょう? |
A: |
鉄の可能性を追求して頂いている素晴らしいアーティストだからです。 |
Q6: |
グラインダーマンは鉄を素材としたアイテムを使ってパフォーマンスをします。鉄のもつ、重厚感、加工し易さなどから鉄という素材を選んで使ってます。鉄も金属の一種ではありますが、「特殊鋼」とはどのようなものを指してそう言うのでしょうか? |
A: |
「特殊鋼」とは、鉄に炭素以外のさまざまな元素を加えた合金鋼のことです。添加する元素によって、硬度、強度、粘り強さ、耐磨耗性、耐熱性、耐食性などの特性が増します。たとえば、ニッケルを加えると粘りと強度がアップし、モリブデンでは高温での強度、硬度が増す、また、銅を加えると耐食性が増すといった具合です。つまり、いろいろな要求や用途に応じてさまざまにハガネの性質をアップさせるのが特殊鋼で、特殊鋼は、ハガネのスーパースターといえます。
(詳しくは当協会ホームページの「特殊鋼ワールド」の「特殊>鋼ってどんなもの?」をご覧下さい) |
Q7: |
ズバリお聞きしますが、業界の景気はどうなんでしょうか?世界における日本の特殊鋼/鉄鋼業界の位置付けなども、よろしければお聞かせ下さい。 |
A: |
非常に忙しい状態が続いています。
これに加え中国の北京五輪・上海万博に向けた急速なインフラ整備を原因とした鉄不足が続いており、混乱の業界でもあります。鉄全体の生産量は、中国が世界一で約2億トン。日本はその半分の約1億トンで第2位です。しかし、高品質な特殊鋼の分野では品質・生産量とも日本がトップです。 |
Q8: |
今回のイベントに関しての質問です。
今回のイベントタイトルは「IRON MAYDAY アイアン・メイデー」ですが、本来、「メイデー」とは「5月に行う労働祭」です。
3月にこのような「メイデー」を行うことをどう思いますか? |
A: |
問題ないのでは?ちなみに今年は「鋼の日」を制定しようと考えていますので、その時には何か一緒にやりたいですね。 |
Q9: |
最後に、今回のイベントへの一言をお願いいたします。 |
A: |
仕事に追われる毎日ではありますが、今からイベント当日が楽しみでワクワクしながら頑張っています。
参加する人が楽しめ元気になれるイベント、そして、このイベントが企業メセナの在り方に一石を投ずることになれば最高です。 |
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あらゆる分野の芸術をそれぞれの関連産業が支援し、単なる工業大国ではなく真の工業文化大国「ニッポン」に成長してくれることを夢見ています。 |